診療グループ

感染・免疫

診療について

診療は、感染・免疫、内分泌・代謝、腎臓、アレルギーの各グループのメンバーと一緒に、子どもの健康・疾病で困っていることを「General=全般的に」担当し、通称「ジェネ班」として活動しています。
津川毅教授はロタウイルスなど胃腸炎ウイルス、平川賢史助教はRSウイルスなど呼吸器感染症ウイルスを専門としています。感染制御・臨床検査医学講座と兼任の富樫篤生助教は、ブドウ球菌など細菌感染症を専門として、小児だけでなく成人の感染症の診療を行っています。非常勤スタッフとして、木澤敏毅非常勤講師が膠原病・リウマチ疾患を専門として週に1回の外来診療を行っています。感染症の多くは発熱を伴うため、発熱や炎症がキーワードとなれば感染症だけでなく、免疫不全症、自己免疫疾患、自己炎症性疾患など幅広く診療を行っています。また、診断・治療に苦慮するケースへの診療支援も行っています。 小児医療においても、様々に専門分野が確立され、細分化が進んでいます。そのおかげでより専門的な医療をお届けすることができています。一方で、「どの先生に相談したらいいかが、わからない」という声も聞かれます。私たちジェネ班は、お子さんに関わる『困った』を「General=全般的に」受け止めます。抱え込まずに、どうぞご相談ください。

対象疾患・症状(2022年度 診療例)
  • 新型コロナウイルス感染症
  • 症候性先天性サイトメガロウイルス感染症
  • 重症黄色ブドウ球菌感染症
  • 鼻咽頭膿瘍
  • 頚部リンパ節膿瘍
  • 化膿性関節炎
  • 小児特発性関節リウマチ
  • ムコ多糖症
  • 潰瘍性大腸炎
研究の紹介
胃腸炎ウイルス

当講座では1970年代より40年以上継続してウイルス性胃腸炎の研究を行なってきました。北海道立中央乳児院での急性胃腸炎集団発生例の原因ウイルス(Sapporo virus)の報告による功績が認められ、その時に分離された胃腸炎ウイルスは、現在は札幌にちなんで「サポウイルス」と命名されています。急性胃腸炎の入院症例や外来症例での原因ウイルスの報告を継続的に行うと同時に、ロタ・ノロ・サポウイルスの診断法、分子疫学的特徴や病原性との関連を報告しています。
現在は、道内の関連病院から得られた胃腸炎患者の便検体による、ロタ・ノロウイルスの分子疫学研究、ロタウイルスワクチンの有効性・安全性に関する研究を行なっています。

RSウイルス

当講座では、長らくRSウイルス感染症の研究を行ってきました。現在は、自主臨床研究「RSウイルス感染症入院症例の後ろ向き観察研究による重症化因子の探索と臨床像の検討」を実施しています。道内の関連病院に入院したRSウイルス感染症のお子さんの臨床情報を収集・解析し、RSウイルスがどうして乳児で重症化しやすいのかを解明しようとするプロジェクトです。

スタッフ

津川 毅〔小児科/教授〕
平川 賢史〔小児科/助教〕
富樫 篤生〔小児科、感染制御・臨床検査医学講座、感染症内科/助教〕
木澤 敏毅〔小児科/非常勤講師〕

内分泌

診療について

小児内分泌疾患(主に成長障害、甲状腺疾患、副甲状腺疾患、副腎疾患、性成熟異常、性分化疾患、骨系統疾患、糖尿病など)の診療を行なっており、石井玲(助教)、末岡秀文(診療医)が担当しております。日本内分泌学会の認定教育施設になっており、大学病院の診療のほか複数の関連施設でも専門診療を行ない連携しております。札幌市新生児マススクリーニング(内分泌)相談も担当しております。内分泌・代謝の視点からこどもたちの健康と未来をみつめる診療を心がけております。

対象疾患・症状

小児の内分泌疾患には様々なものがありますが、以下のような症状でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談下さい(外来は予約制です)。

  • 低身長(身長が低い)
  • 高身長(身長が高すぎる)
  • 多飲,多尿
  • 夜尿
  • 肥満,メタボリックシンドローム
  • 学校検尿で尿糖陽性,
  • 糖尿病(1型、2型)
  • 思春期早発(乳腺腫大,陰毛,性器出血)
  • 思春期遅発(生理が出現しない)
  • 多毛
  • 甲状腺が腫れている
  • 外性器異常,小陰茎,尿道下裂など
  • 新生児マススクリーニングで精密検査が必要と言われた
スタッフ

石井 玲〔小児科/助教〕
末岡 秀文〔小児科/診療医〕

循環器

診療について

医療の進歩に伴い各診療科は多様化し、小児科も例外ではありません。小児科は内科系に区分されますが、成人の内科と同じく専門化が進んでいます。
我々、小児科心臓班が診る疾患は多種多様です。先天性心疾患はもちろん、川崎病のような小児科特有の後天性心疾患、不整脈、心筋疾患、心臓腫瘍、感染性心内膜炎などの感染症と、幅広い疾患を取り扱っています。また年齢層も非常に広く、胎児の心エコーで気づかれる心疾患の患者さんから、お年寄りの心不全で見つかり、精査してもわからず初めて我々に紹介されて明らかになる先天性心疾患患者さんなど、その病歴や背景は多種多様です。
このような多様な疾患と患者さんを診察するためには、幅広い知識と手技が求められます。五感を活用した診察に加え、心電図、レントゲン写真、超音波検査、CT、MRI、RI検査などの最新の医療技術を駆使して診察にあたります。診断精度は上がっていく反面、それらの進歩について行くために日々精進しております。その一例として、我々は平成25年より胎児心臓病学会から胎児心臓超音波検査専門施設として認定を受けています。さらに、カテーテルデバイスの進歩により、従来は開心手術しか選択肢がなかった疾患もカテーテルによる治療が可能となりました。
また、北海道という広大な地域をカバーするため、地域の中核病院や他の小児循環器専門医とも連携し、患者さんの診察および治療を行っています。
このように、専門化した医療の知識・技術習得のための努力や、地域医療のための他施設との連携は、いずれの診療科においても変わらない重要なことだと思います。一方で、我々が成人の専門科等と異なる点は、小児科医として総合的に『ひと』を診察していることです。人間は、脳・心臓・消化器などとパーツパーツで生きているわけではありません。一つ一つのパーツを専門とし治療に当たるのも重要ですが、われわれは、小児科医として『こども』を診ています。胎児から壮年期までいずれの患者であっても、循環器を専門としながらその先に『ひと』を診るつもりで診療にあたっています。

スタッフ

現在、我々大学の小児科心臓班は以下の2名で診察にあたっております。 札幌医大小児科循環器グループに興味をお持ちの学生、研修医の方の見学をお待ちしております。

和田 励〔小児科/助教〕
春日 亜衣〔小児科/診療医〕

腎臓

診療について

小児腎臓・小児泌尿器の病気を担当します。
身体計測、血圧測定、尿検査を基本として、血液検査や、超音波・CT・MRI・シンチグラムなどの画像検査を行います。
尿検査異常や腎機能障害が続く場合は腎生検を行い、病理診断に基づいた診断・治療を行います。
腎尿路異常が疑われる場合は、必要に応じて排尿時膀胱尿道造影検査を行います。
外科的な評価や治療が望ましいと判断した場合は、北海道立子ども総合医療・療育センター泌尿器科と連携して診療にあたります。

対象疾患・症状
  • 偶然発見された尿検査異常や腎機能障害
  • 学校検尿で精密検査を勧められた血尿やたんぱく尿
  • 見た目に明らかな血尿
  • 日中の漏れを伴う夜尿症
  • 胎児エコーで見つかった水腎症や嚢胞性腎疾患
  • 尿路感染症後の腎尿路異常検査
最近の腎生検数
スタッフ

長岡 由修〔小児科/助教〕

アレルギー

診療について

現在は食物アレルギーを中心とした診療を行っています。食物アレルギーの方には、他のアレルギー性疾患、例えば、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎をもつ方も多く、それらに関してもあわせて診療を行っています。また、スギ・ダニに対する舌下・皮下免疫療法も行っています。
食物アレルギーについては、2019年5月より入院での食物経口負荷試験を開始しています。診断や診断後の治療に重要な検査です。当院では主に1泊2日入院で検査を行っています。また、一部の方には外来でも経口負荷試験を行っています。負荷試験後は、一般的な食事指導も行っていますが、早期に自然獲得が困難な症例を対象に経口免疫療法も行っています。

新規に受診を希望される方へ

当科では現在、紹介状をお持ちの方のみの予約受付とさせていただいております。受診を希望される方は、まずかかりつけ医に御相談いただけますよう宜しくお願い致します。
受付時間は、毎週水曜の朝9時~11時半(初診・再診)、13時~15時半(再診)となっています。

医療機関の先生方へ

御紹介いただく際には、御家族へお渡しされる診療情報提供書と同じ資料を、事前に郵送いただけますと幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。 患者さんに過剰な生活制限を強いることなく、最新の知見を取り入れたアレルギー診療をもとに具体的な指導を行えるように心がけています。お困りの際は、御相談ください。

スタッフ

野上 和剛〔小児科/助教〕

神経・筋

診療について

札幌医科大学小児神経グループでは急性疾患から慢性疾患まで全ての小児神経疾患に対応しています。
対象疾患は、てんかん、脳症、末梢神経筋疾患、重症心身障害、脳奇形、変性疾患、先天性代謝異常、頭痛、不随意運動、など多岐にわたります。

対象疾患・症状

以下のような症状でお困りでしたらご相談ください。

  • 発達の遅れ
  • けいれん
  • 変な運動(突然ぴくっとしたり、奇妙に手足を動かしたり)
  • 運動障害(最近転びやすい、力が入らない、目の動きがおかしい)
  • 感覚異常(しびれや頭痛)
  • 意識、睡眠障害
てんかん、てんかん様運動に対する長時間ビデオ脳波モニタリング

てんかんに対しては、検査部での脳波検査だけでなく、主に発作時脳波や紛らわしい運動の鑑別目的に長時間ビデオ脳波モニタリングを行っています。興奮やこだわりのため脳波をなかなかつけさせてくれない方にも長時間脳波だとうまくいくことが多いです。また難治症例に対しては、外科適応を含め、各科(脳神経外科、神経科学、リハビリテーション科、神経内科)と院内の脳機能カンファレンスに症例提示し、連携して治療にあたっています。

<最近の長時間脳波延べ数>

脳炎・脳症に対する集中治療

院内ICUと協力して、脳炎・脳症に対し、持続脳波モニタリングのもと集中治療(大量ステロイド療法、脳低温平温療法、血漿交換療法)を行っています。

<最近の急性脳症症例数>

筋疾患、神経疾患に対する電気生理学的検査、筋・神経生検

末梢神経伝導検査、反復筋電図、針筋電図を行っています。また神経内科と協力して、単線維筋電図により重症筋無力症の診断や評価を行っています。

<最近の生検数>

その他:神経筋疾患、原因不明疾患、睡眠障害など
  • 筋疾患や重症心身障害児などに対し、医療法人稲生会のスタッフの協力のもと、呼吸評価、呼吸器導入を行っています。
  • 原因不明疾患に対して、全身検索として、丁寧な身体所見診察、画像検査(MRI、CT、SPECT、PET)、電気生理学的検査(脳波、末梢神経伝導検査、筋電図)、検体検査(血液、尿、髄液)、耳鼻科・眼科的診察などを行い、障害部位やその特徴をはっきりさせます。それでも原因不明の疾患に対しては、全国の各研究機関と協力して網羅的遺伝子解析を行っています。新しく発症した方ばかりでなく、長年未診断だった方も最近の診断技術の進歩から診断に至ることもあります。
  • 睡眠障害の精密検査として、無呼吸モニター、ポリソムノグラフィー、長時間ビデオ脳波モニタリングを行い、睡眠評価を行います。
研究の紹介

レスベラトロールの筋疾患に対する臨床応用について薬理学講座の協力の元、川村医師を中心に行っています。また難治てんかんに対する骨髄間葉系幹細胞による新規治療法開発の研究について、福村医師により神経再生医療講座の元で行っています。

参考:当院および関連施設での経験症例(疑い例を含む)
数字14番染色体父親性ダイソミー (UPD(14)pat) 症候群
14番染色体母親性ダイソミー (UPD(14)mat) 症候群
18qモノソミー
1p36欠失症候群
22q11.2欠失症候群
4pモノソミー症候
5pモノソミー症候群
英字Aarskog-Scott症候群
Aicardi症候群
Allan-Herndon-Dudley症候群(MCT8異常症)
Angelman症候群
ATR-X症候群
Beckwith-Wiedemann症候群
Bickerstaff型脳幹脳炎
Branchio-oto-renal (BOR)症候群
Cardio-facio-cutaneous (CFC)症候群
Charcot-Marie-Tooth病
CHARGE症候群
COL4A1-related disorder
Colpocephal
Cornelia de Lange症候群
Cowden病
Dandy-Walker症候群
Down症候群
DRPLA(歯状核赤核橋ルイ体萎縮症)
Goldenhar症候群
Guillain-Barre症候群(GBS)
Hopkins症候群
Horner症候群
HPRT欠損症(Lesch-Nyhan症候群・Kelley-Seegmiller症候群)
Joubert症候群を含む小脳虫部低形成/無形成
Kabuki(Niikawa-Kuroki)症候
Kallmann症候群
Klippel-Feil症候群
Larsen症候群
Lowe症候群(眼・脳・腎症候群)
Marinesco-Sjogren症候群
Megalencephaly-capillary malformation-polymicrogyria(MCAP)
Miller-Dieker症候群
Mobius症候群
Mowat-Wilson症候群
PKCもしくはPKD(発作性運動誘発性ジスキネジア)
PNKD(発作性非運動誘発性ジスキネジア)
Rasmussen脳炎
Rett症候群
RPLS/PRES
Sjogren Larsson症候群
Stiff-person症候群
Sydenham舞踏病
Tolosa-Hunt症候群
Turner症候群
Vogt-小柳-原田病(ぶどう膜髄膜脳炎)
Walker-Warburg症候群
X連鎖性遺伝性水頭症(XLAG)
X連鎖精神遅滞症候群
アトピー性脊髄炎
アレキサンダー病
アレキサンダー病
亜急性硬化性全脳炎
インフルエンザ脳症
異所性灰白質
異染性脳白質ジストロフィー
遺伝性ジストニア
遺伝性圧脆弱性ニューロパチー
遺伝性痙性対麻痺
横断性脊髄炎
海綿状血管腫
外眼筋炎
外傷性急性硬膜外血腫
外性器異常を伴うX連鎖性滑脳症
核間性眼筋麻痺(内側縦束症候群)
滑脳症
川崎病(中枢神経系合併症)
眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症
キアリ奇形
急性ウイルス感染症
(単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1),2型(HSV-2) ・サイトメガロウイルス (CMV)・エンテロウイルス71型・麻疹ウイルスなどによる脳炎,脊髄炎,髄膜炎,神経根炎,末梢神経炎など)
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
急性小脳炎
球脊髄性筋萎縮症
巨大大槽
巨頭症
巨脳症
くも膜下出血
クラッベ病
グルコーストランスポーター1欠損症症候群
クロイツフェルト・ヤコブ病
結節性硬化症
結節性多発動脈炎
ゴーシェ病
ゴーリン症候群
コケイン症候群
孔脳症
抗NMDA受容体脳炎
抗VGKC複合体抗体を伴った辺縁系脳炎
高フェニルアラニン血症(フェニルケトン尿症)
高血圧性脳症
サルコイドーシス
細菌性髄膜炎
シトリン欠損症―成人型シトルリン血症
視神経脊髄炎
若年性パーキンソン病
周期性失調症
重症筋無力症
出血性脳梗塞
小頭症
小脳形成異常・小脳低形成
小脳梗塞
松果体嚢胞 脈絡叢嚢胞
色素性乾皮症
心原性脳塞栓症
神経セロイドリポフスチン症
神経線維腫症
水無脳症
髄鞘形成異常症
瀬川病(ドパ反応性ジストニア:DYT5ジストニア)
脆弱X症候
脆弱X症候群
脊髄空洞症
脊髄脂肪腫
脊髄腫瘍
脊髄小脳変性症
脊髄性筋萎縮症(Werdnig-Hoffmann病・Kugelberg-Welander病)
脊髄動静脈奇形
先天性グリコシル化異常症(CDG症候群)
先天性水頭症
先天性大脳白質形成不全症
先天性皮膚洞
線維筋性形成異常症
全身性エリテマトーデスに伴う神経障害(精神神経ループス)
全前脳胞症
多小脳回症
多嚢胞性脳症
多嚢胞性脳軟化症
多発性硬化症
大腸菌髄膜炎
中隔視神経異形成
中枢神経系血管炎
中枢神経系血管炎
低酸素脳症
糖質代謝異常症
頭蓋縫合早期癒合症
動静脈奇形(AVM)
銅代謝異常症
特発性正常圧水頭症
二分脊椎
乳児神経軸索ジストロフィー
尿素サイクル異常症(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症など)
捻転ジストニア
脳幹梗塞
脳幹出血(中脳・橋・延髄)
脳梗塞
脳硬膜下血腫
脳室周囲結節状異所性灰白質
脳腫瘍後てんかん
脳腫瘍後神経障害
脳膿瘍
脳梁欠損症
脳瘤
脳腱黄色腫症
肺炎球菌髄膜炎
橋本脳症
反対側(小脳)大脳機能解離
反対側小脳機能解離
ビタミン依存症
皮質下出血
皮膚筋炎・多発性筋炎・封入体筋炎
肥厚性硬膜炎
平山病
ファブリー(Fabry)病
福山型先天性筋ジストロフィー
ペリツェウス・メルツバッハー病
ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーなど)
片側巨脳症
ポンペ(Pompe)病
傍腫瘍性神経症候群
慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー
慢性多発性チック症(Gilles de la Tourette 症候群)
ミトコンドリア病(MELAS・MERRF・カーンズ・セイヤー・CPEO)
ムコ多糖症(MPS)
免疫介在性脳炎
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)
モリブデン補因子欠損症
毛細血管拡張性運動失調
有機酸代謝異常症
良性遺伝性舞踏病
裂脳症
スタッフ

福村 忍〔小児科/准教授〕
山本 晃代〔小児科/診療医〕
石田 航平〔小児科/診療医〕

血液・腫瘍

診療について

小児の血液疾患(再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少症、凝固異常症など)、悪性腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫など)に関して全国・国際標準の治療を行っており、常時10-15名の入院治療を担当しています.小児の悪性腫瘍は比較的まれな疾患であるため、今後治療法を発展させてゆくためには、多施設が協力して臨床試験を行う必要があります。
血液・腫瘍グループは、日本小児がん研究グループ(JCCG)に参加し、小児がんの臨床試験に登録することにより、最先端の治療を行っています。固形腫瘍の患者さんについては、当院外科系各科および北海道立子ども総合医療・療育センター血液腫瘍内科・小児外科とも連携し診療にあたっています。
同種造血幹細胞移植は、病棟の無菌室2床で年間1-2例を行っており、難治性の悪性固形腫瘍に対しては自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行っています。
近年は、がん遺伝子パネル検査によって、小児がんについても詳細な遺伝子異常を解析し、その結果に基づいた一人ひとりにあった治療法を提案できるような体制を整備しています。

スタッフ

山本 雅樹〔小児科/准教授〕
竹林 晃〔小児科/助教〕
赤根 祐介〔小児科/助教〕
浜田 亮〔小児科/診療医〕

児童精神

診療について

児童精神グループは、國重美紀(助教)、増山裕太郎(診療医)の2名が担当しています。さらに、上出真奈、ほか2名の臨床心理士を中心に、心理検査や心理療法を通して、医師と協力してこころの診療にあたっています。
児童精神医学の診療については当講座が早期から取り組んでおり、小児科の中でイニシアティブを取ってきました。昭和37年に精神衛生外来を開設、昭和60年からは氏家武医師が主導してきました。平成19年春には当院の神経精神科と共同で、道内では初の”児童思春期こころと発達外来”を立ち上げました。平成24年度からは精神科の業務を見直し、初診対象年齢を15歳以下(中学生以下)としています。
診療対象は自閉症や発達相談に始まり、時代とともに不登校や心身症、摂食障害などが増加しました。さらに自閉スペクトラム症や注意欠如多動症など発達障害がクローズアップされるようになり、様々な問題が表面化してきました。大学病院という特殊性から、発達障害がベースにあるため慢性疾患の管理に難渋するケースなど、リエゾンとしての役割も増えてきています。
現在、他の医療機関からの紹介患者さんのみ新患の予約を受け付けています。 出張による専門外来としては、苫小牧市立病院、釧路市立病院、道立緑ヶ丘病院(帯広)、市立根室病院、小樽協会病院、八雲総合病院、浦河赤十字病院にて行っています。

対象疾患・症状
  • 発達障害:広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)、注意欠如多動性障害、学習障害、知的障害など
  • 行動上の問題:不登校、いじめ、ひきこもりなど
  • 心身症:起立性調節障害、過敏性腸症候群、頭痛など
  • 摂食障害、気分障害、不安障害(社交不安障害、強迫神経症、過換気症候群など)
  • 排泄や睡眠の問題
  • チック、習癖(爪噛み、抜毛など)
  • 慢性疾患に伴うストレスから生じたこころの問題
  • 環境要因が影響するこころの問題
スタッフ

國重 美紀〔小児科/助教〕
増山 裕太郎〔小児科/診療医〕

新生児

診療について

当院新生児集中治療部門(Neonatal Intensive Care Unit, NICU)は平成18年1月1日に認可を受け、現在5名の専属の小児科医が診療に当たっています。
早産児・低出生体重児の管理を中心に、新生児呼吸管理、新生児循環管理を行い、特に、リスクのある赤ちゃんのintact survival(障害なき生存)を目指して、HFOやNAVAを用いた肺に優しい呼吸管理、早期抜管からNasal CPAPやHigh-flow nasal cannulaへの管理、低血圧許容の循環管理、ガイドラインに基づいた未熟児動脈管開存症の管理、また、重症例に対応すべく、一酸化窒素吸入療法、脳低温療法が行える体制も整えています。さらに、気管支鏡やビデオ喉頭鏡など最新のデバイスを導入し、新生児医療研修として充実した環境を整えています。
母体合併症や胎児診断例などのリスクのある母児に対して、医療の専門化、高度化の流れの中、大学病院としての利を生かして関係各科との連携や、外科対応が必要な疾患においては北海道立子ども総合医療・療育センター(コドモックル)とも密に連携し、あらゆる事態に対応できる体制を取っています。
日常の診療において、特に健やかな成長発達を促すことを目指して、ディベロップメンタルケアの一環としての赤ちゃんのポジショニング、両親によるカンガルーケアに加え、リハビリ科と連携して、新生児期早期の神経発達評価に基づく早期介入も行っています。 また、最新の新生児蘇生法を習得してもらうように、医師、助産師、看護師を対象とした新生児蘇生法講習会を定期的に開催しています。

スタッフ

坂井 拓朗〔小児科/産科周産期科 助教〕
五十嵐 リサ〔小児科/産科周産期科 助教〕
房川 眞太郎〔小児科/診療医〕
西田 剛士〔小児科/診療医〕
三木 芳織〔小児科/診療医〕

遺伝

診療について

先天性・遺伝性疾患のお子さんの診療を専門としています。
*小児の場合は、小児科の「小児遺伝外来」へご紹介ください。
(15歳以上の患者さんの診断や診療は遺伝子診療科で対応させていただきます)
(発症前診断や出生前診断などの遺伝カウンセリングは遺伝子診療科での対応となります)

先天性・遺伝性疾患をもつお子さんの診療

お子さんの成長や発達の過程を見守りながら、丁寧に診察させていただき、各種検査結果、家族歴などを参考にして、総合的に正確な診断をめざします。また、染色体や遺伝子などの変化が疾患の発症要因と考えられる場合や、診察をしても想定される臨床診断が難しい場合は、マイクロアレイ染色体検査、各種遺伝学的検査による遺伝学的診断を提案することがあります。
正しい診断をすることにより、診断に基づいた、見通しのある子育てができ、今後起こりやすい合併症や発達特性に合わせた健康管理、療育や教育の支援ができます。また将来の家族計画を考えるときの大切な根拠となります。 またこれらの疾患は合併症が多岐にわたり、症状がさまざまな臓器にそれぞれ異なった時期から出現することもまれではありません。それぞれの合併症に対して小児科の各専門外来や、関連診療科と連携しながら、お子さんの年齢や状態に配慮して定期的に健康管理を行います。また必要に応じて療育や教育の支援もご提案いたします。

未診断疾患イニシアチブ Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases(IRUD)

各種検査や遺伝学的検査を行っても、診断がつかない患者さんに対して、遺伝子を幅広く調べ、その結果と患者さんの症状を照らし合わせることで、まれな病気や新しい病気の診断を目的とした研究です。詳細は下記URLを参考にしてください。
https://web.sapmed.ac.jp/genetics/clinic/IRUD/

遺伝カウンセリング

お子さんや家系内の遺伝に関するあらゆる問題について、「どうして?」「なぜ?」と思っておられる方、病気や体質が家族に遺伝するのかどうか、結婚や出産などのライフイベントに関する相談に対して、遺伝カウンセリングを行っています。小児遺伝外来の診療の中で対応させていただくこともありますが、まだ発症されていない家族への遺伝や、次のお子さんの妊娠、出産に関わることについては、遺伝子診療科で自費診療として対応しています。
https://web.sapmed.ac.jp/genetics/clinic/

主な対象疾患

ダウン症候群、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、4p-症候群、5p-症候群、22q11.2欠失症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリ症候群、アンジェルマン症候群、ソトス症候群、1p36欠失症候群、2q13欠失(Senior-Loken症候群)、9p13.3欠失、10p14欠失(HDR症候群)、10q25-q26欠失、11q24.2欠失(ヤコブセン症候群)、15q25.2欠失(ダイアモンド・ブラックファン貧血)、16p11.2-p12.2 欠失症候群、18q12.1-q21.2欠失、19q13.2-13.3重複、17q11欠失症候群などの染色体疾患、マイクロアレイ染色体検査で同定可能な染色体微細欠失重複症候群。

ヌーナン症候群、CFC症候群、CHARGE症候群、Waardenburg症候群、外胚葉異形成症、ルビンシュタイン・テイビ症候群、Saethre-Chotzen症候群、Kleefstra症候群、ヤング・シンプソン症候群、シルバー・ラッセル症候群、アペール症候群、PTEN過誤腫症候群、Kabuki症候群、マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群、ビールス症候群、Myhre症候群、神経線維腫症1型、結節性硬化症、伊藤白斑、筋強直性ジストロフィー、先天性福山型筋ジストロフィー、OAV spectrum、先天性無虹彩症、大理石骨病、片側肥大症などの先天性症候群(染色体異常による場合もあります)。

先天性QT延長症候群、ブルガダ症候群、肥大型心筋症、マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群などの循環器疾患、ファブリー病などの先天代謝異常症、DICER1症候群などの遺伝性腫瘍、その他、腎疾患、神経疾患、内分泌疾患など、各専門外来と連携して遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを行っています。

スタッフ

石川 亜貴〔遺伝医学/助教〕〔遺伝子診療科/小児科兼任〕
重冨 浩子〔小児科/診療医〕